コンテンツ
はじめに
まず初めに、筆者は残念ながら法律家ではないので、端的に申し上げると法律の詳細部分まで検討しきる能力はないかと思われます。また、私の能力や配慮のなさが原因で記述が出来ていないまたは誤植などがあるかもしれません。この点、何卒ご了承頂ければ幸いでございます。
6/28更新:陳情書について
事件について
2018年6月13日までに 神奈川、愛知、宮城など全国10の県警がそれぞれCoinhiveを利用者に無断で設置していたとして不正指令電磁的記録に関する罪で、サイト運営者を検挙した。
検挙された人の数は16人で、うち3人は逮捕され1人はCoinhiveと同様のプログラムを製作したとしてウイルス作成罪も含めての逮捕となった。
(このサイトをご覧頂いている皆様には、おそらく詳しい経緯を既にご存知か調べることが出来ると思いますので、これ以上は割愛致します。)
この事件の問題点
この事件の問題点は視点を変えれば多数に及ぶかと思いますが、少なくとも私の中では以下の点が挙げられると考えています。
・法律上(不正指令電磁的記録に関する罪 刑法168条の2及び168条の3)における専門家によって判断の別れる今回の事案(所有しているサイトにCoinhiveを無断で設置していた)に対して、特別な大きな被害を受けた被害者が実存していない(※1)にも関わらず、警察が事前に何の警告もなく、社会的な制裁、精神的消耗・身体的拘束、それらを包括した強い人権侵害が伴う検挙(一斉検挙)を主権者たる国民に対して行った。
不正指令電磁的記録に関する罪 刑法168条の2、168条の3
正当な理由がないのに、人の電子計算機(コンピュータ)における実行の用に供する目的で、刑法168条の2第1項各号に掲げる電磁的記録その他の記録を作成し、又は提供した場合、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処される(168条の2第1項)。同項各号に掲げられた電磁的記録とは、
- 人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録
- 前号に掲げるもののほか、同号の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録
仮に今回の事案が、警察が法律違反だと判断して行動する場合においても、事前に注意喚起や警告をすれば殆どの人はCoinhiveの設置をとりやめたのではないかと考える。(今回検挙された全員またはほとんどの設置者は、当該行為の違法性の認識がなかったのではないか。)
・冒頭でも述べた通り、現時点ではCoinhiveの利用者への無断設置を巡って、その合法・違法の解釈は立場によって別れている状態であるといえる。
警察は、今回の検挙理由の1つとして「Coinhiveには、ネット広告と違い社会的コンセンサス(社会的同意)が得られていない」と主張したが、「Coinhive」という新しい仕組みは現在発展途上の段階にあり、「社会的なコンセンサス」が現時点で得られていないのは当然である。「十分違法である可能性があり、なおかつ被害者の被害が看過出来ないレベルの事案」であれば警察による即時の検挙もやむを得ないと考えるが、そうでない場合は、「社会的コンセンサス」は本来、これから「Coinhive」を一般のネット利用者などが知っていった際には徐々に形成されていくものではないか。そして、もしこれを一般の多くの人が容認できない・悪質と判断すれば、これは社会問題となり、国会によって新たなガイドラインや規制基準を設けたり、法改正を行うことで明確な規制対象となっていくものではないか。
少なくとも被害者(※1)に重大な被害が出たわけではない、今回のような問題に対して、国の行政組織である警察・検察が「違法」と断定し、事前警告なく強制力を持った検挙・逮捕という行為を行えば、今回の内容を初めて知った国民や深く内容を理解するのが難しい一般のネットユーザーまたはメディアなどは、警察に検挙されたという事実をもって「悪いことをした」と捉えるなどして警察の主張を単純に追認してしまう結果を招きやすく、法律上は解釈の分かれる問題について、一般の国民が「社会的コンセンサス」を形成する前に、「警察や検察の考え方に基づいた社会的コンセンサス」が形成されてしまうのではないかという懸念もある。
日本の警察を定義する警察法では、第一条として「個人の権利と自由を保護し公共の安全と秩序を維持するため」という存在意義が記されているが、「今回のように違法か合法か現状判断の分かれている」、「被害者(※1)に重大な被害が出たわけではない」、「社会的コンセンサスが未発達の段階の事案」に対して、今回の設置者の行為を、その平穏な生活を脅かしてまで事前に何の警告もなく警察が検挙・逮捕を行う必要性や正当性があるとはいえないのではないかと考える。
・一斉検挙の後に、警察庁がホームページ上で本件に関する注意喚起を行ったが、その中で今回の事案を「犯罪になりえる可能性があります」という書き方をしており、「組織として明確に犯罪なのか確定出来ていない事項に対して一斉検挙に踏み切ったのだろうか」という疑問を持たせるような内容となっている。もしそうであるとすれば、基本的人権に対する蹂躙行為であるといる。
・捜査をしているサイバー警察のITスキルとして、法文上における、「人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録」の「不正な指令を与える電磁的記録」という部分のうち、「不正な指令」であると見極める能力(スキル)や判断基準の妥当性があるのか甚だ疑問。また、本件については、警察は合同捜査本部を作り一斉検挙を行っており、警察内の上層部も関与していると考えられることから、この問題は、警察署単位の問題ではなく警察組織全体として問題といっても差支えないと考える。
・警察は、検挙の決め手として「利用者に無断(意図しない動作)であること」、「報酬を得ていること」、「広告と違って社会的コンセンサスが得られていないこと」の3点を挙げているが、 警察がそもそも「社会的コンセンサス」の程度については、法律上の判断が立場によって分かれる事項を独断で決めることの出来る存在なのかが疑問であり、また何を以て「社会的コンセンサスがとれていない」と判断しているのかも曖昧である。
例えば、同じように報酬が得られる広告システムとして、露骨なスクロール追従型広告や×ボタンが極端に小さく、×を押しても閉じることのできない動画広告は、利用者の意図しない動作(無断ではない(一般の人が視認により確認が可能と考えられるため)が意図しない動作)ではないか、また「社会的コンセンサス」を得ているものであると果たしていえるのだろうか。あるいはマシンパワーを使って利用者の電気代を無駄にさせているというのが、違法とした根拠だったとしても上記でも述べた動画広告でもマシンパワーは使っているため、現時点において、これらを違法と合法と判断する境界線がどこあるのかは明確ではないと考えられる。
以上から、一体何を以て警察は検挙の判断をしているのかが曖昧であると言わざるを得ないと考える。このような判断基準が曖昧な状態では、今回検挙された16人の人のみならず、今後多くのIT関連の技術者やデザイナーや関係者が法律違反を恐れ、新しいソフトウェアやシステムの作成、構築することに関して萎縮してしまうことを招き、ひいてはこれが日本の対外競争力や創造的活動を委縮させることに繋がることとなりと考えるため、「サイバー警察の組織体制や教育の見直し」、および「本法律の合法・違法の判断を明確化させるためのガイドラインの策定や法改正を行うこと」は、国益においても民主的で人権を守る法治国家としても必ずプラスになると考える。
・裁判所は、家宅捜索のため警察に対して家宅捜索令状を発行しているはずだが、法律的判断が曖昧なままの状態を容認し令状を発行している。(令状発行を棄却出来ておらず、令状主義の形骸化=令状の自動販売機状態)
・検察は、事件の内容について深い検討をすることなく略式起訴による10万円の罰金を命じた疑いがある。(モロさんのお話)
※1 今回の事案では設置されたCoinhiveにより予期しない動作をしてCPU等のマシンリソースを消費されてしまった人がいるため、それは主張すれば被害者にはなりえる可能性はあるかと思われる。
冤罪の危険性
今回はたまたまCoinhiveが事件化されたと考えていますが、サイバー警察の捜査能力の低さや独断的な捜査手法は、裁判所の形骸化した令状主義と相まって、今回のような事態が決して例外的な出来事ではないのではないかと考えています。
例えば、このサイトでも利用しているWordPressというCMSは、世界の30%以上のシェアを持っています。
しかし、WordPressでは改ざん被害が少なくない数(当然WordPress以外のサイトでも改ざんの被害は出ています)発生しており、もしこのような捜査能力の欠如した警察が、独自の判断により改ざんされたサイトを見つけたり、誰かが通報してしまえば、そのサイトを改ざんされた運営者が誤認逮捕されてしまう危険性も十分あり得ると考えられます。
特に法的抵抗能力の少ない個人で、かつ技術的に根拠を示せないIT技術の初心者が狙い撃ちされた場合、自分が誤って不正なプログラムをインストールしてしまったのだろうかと心配になって罪を認めてしまっても不思議ではありません。
今回の事件に対する抜本的な対策を放置することは、上記のような潜在的な冤罪リスクを多くの人に与える重大な事案であるとも考えます。
なぜこのような事を思い立ったのか
今回の陳情書を作ろうと考えたのは、この事件が発端ではありません。
そもそものはじまりは、私自身が2018年の4月中旬に警察による自宅の家宅捜査を受けたことです。
私は愛知県に住んでおり、捜査を受けた容疑は、「被疑者不詳に対する不正アクセスの禁止等に関する法律違反被疑事件」でした。詳細は、こちらの記事をご覧ください。
この事件、本当に簡単に説明すると、フィッシングサイトを作った人物がおり、私が業務上行った作業によりその犯人のサーバーのアカウントに私のIPアドレスのログが残ったが、警察は十分な裏付け捜査をしない上で、私の家を犯人の自宅であると勘違いし、私の自宅を裁判所の発行した令状により家宅捜索したが当然何もでなかったという事件でした。結果としては、仕事のある日に6時間ほどの時間拘束を受けることとなりました。幸い、捜査員の方と詳しく経緯をお互い確認していくなかで、2時間~3時間ほどで私が犯人ではないことが分かりましたが、それまでは完全に犯人扱いといった印象でした。
この出来事が、私に警察のずさんな捜査体制や手法、ITスキルの欠如を実感させることとなり、私は大変な不安と憤りを覚えました。
一体いくらの国民の税金が無駄に投じられたのかか考えると、国民の皆様にも申し訳ない思いです。
今回の事件があり、モロさんが今回の略式起訴に対して刑事裁判を起こされることを知ったのは、まさに上記の件に関して、国家公安委員会や監察官室に対して警察組織改善のための意見書を執筆している最中のことでした。
このままサイバー警察組織や裁判所、今回の法案に対する解釈について、現状のままを維持してしまうと、本来、国民生活の平穏を守ることを使命とする警察が、罪もないどころか本来、主である主権者(納税者)を不当に拘束し、裁判所もそれを令状によって合法的に認可してしまい、逆に一番に守るべき国民生活の平穏を脅かし、私の中では何より尊重されるべきと考える国民の身体や精神の自由、社会的地位、財産、経済活動が不当に犠牲にされる事態が発生してしまうのではないか。またはもう既に発生しているが、気づけていないだけなのではないかと本当に強い懸念があります。
ですから、例え無意味であったとしても主権者の1人であり、かつこのような家宅捜索の経験をし、これらの事案について、ある程度の専門的な見地を職業上偶然持っていた人間として主張しなければと考えました。
陳情書について(6/28更新)
6/19追記
元々、与党、野党各党、無所属議員の各サイトのお問い合わせフォームまたはメールアドレス宛てに連絡し、陳情書を送った後、一部の人だけに手紙で「陳情書」を郵送するつもりでしたがネット上で詳しく調べていったところ「メールやお問い合わせフォームといったところからの問い合わせを行ったとしても効果は薄く、直談判以外なら国会議員宛てに直接、手紙を送るのが効果的。なぜ、手紙を使った効果的かというと、問い合わせフォームやメールよりも送り手の手間や費用が掛かる分、受け手に真剣だと判断される可能性がある。」と、こういったような趣旨のことが書いてある体験談をいくつか確認しましたので、これまでの方針を変更し、基本的には手紙と問い合わせフォーム(メール)の2種類の連絡方法により議員の皆様に陳情させて頂ければと思います。
6/21追記
昨日、6/20に、国会の32日間の会期延長(7/22まで)が決定されました。これに基づき、今国会中に陳情書を届けるべく、来週中には全議員に対して、メール・手紙問わず陳情書を全て送れるよう準備を進めてまいります。
6/26追記
陳情書発送先の住所の確定および封筒の宛名書き等が完了致しました。(全59議員分)陳情書については、それぞれの議員の国会事務所宛てにお送り致します。
今日(6/26)から明日(6/27)にかけて、衆参議員用の陳情書の印刷作業および署名・捺印を行い、別の陳情内容(国家公安委員長のため)の提出を行う予定の「小此木 八郎」議員を除いて 6/28(木)に「速達」で陳情書を発送する予定です。
6/28追記
衆参60議員(コメント欄で先日、ご紹介頂いた和田 政宗 参議院議員 青山 繫晴 参議院議員を含む)宛てに、陳情書を速達で郵送致しました。(6/29着予定)
※私自身、国会議員だけではなく、住んでいる地方自治体も含めて「陳情」を行うのは初めての経験のため全く不慣れで申し訳ございません。もし、これまでに陳情や請願された事のある経験者の方が、この記事をご覧になって何かお気づきの点などございましたらアドバイス等頂けますと幸いでございます。
陳情書の送り先について(6/28更新)
検討させて頂いた結果、以下の表に示す5つのグループの議員の皆様宛てに、「陳情書」をメールと郵送で送付出来ればと思っております。
陳情書の提出先に考えているのは以下の全59議員(重複1議員)の皆様です。
1.衆議院法務委員会に所属する国会議員(全35議員)
役職 | 氏名(敬称略) | 会派 | 陳情方法 |
委員長 | 平口 洋 | 自民 | 手紙・メール |
理事 | 大塚 拓 | 自民 | 手紙・メール |
理事 | 門 博文 | 自民 | 手紙・メール |
理事 | 田所 嘉徳 | 自民 | 手紙・メール |
理事 | 藤原 崇 | 自民 | 手紙 |
理事 | 古川 禎久 | 自民 | 手紙 |
理事 | 山尾 志桜里 | 立憲 | 手紙・メール |
理事 | 源馬 謙太郎 | 国民 | 手紙 |
理事 | 國重 徹 | 公明 | 手紙 |
委員 | 安藤 裕 | 自民 | 手紙・メール |
委員 | 井野 俊郎 | 自民 | 手紙・メール |
委員 | 上野 宏史 | 自民 | 手紙・メール |
委員 | 鬼木 誠 | 自民 | 手紙・メール |
委員 | 門山 宏哲 | 自民 | 手紙・メール |
委員 | 神田 裕 | 自民 | 手紙・メール |
委員 | 菅家 一郎 | 自民 | 手紙・メール |
委員 | 城内 実 | 自民 | 手紙・メール |
委員 | 黄川田 仁志 | 自民 | 手紙・メール |
委員 | 小林 茂樹 | 自民 | 手紙 |
委員 | 谷川 とむ | 自民 | 手紙 |
委員 | 中曽根 康隆 | 自民 | 手紙 |
委員 | 古川 康 | 自民 | 手紙 |
委員 | 山下 貴司 | 自民 | 手紙 |
委員 | 和田 義明 | 自民 | 手紙 |
委員 | 逢坂 誠二 | 立憲 | 手紙・メール |
委員 | 松田 功 | 立憲 | 手紙 |
委員 | 松平 浩一 | 立憲 | 手紙・メール |
委員 | 階 猛 | 国民 | 手紙・メール |
委員 | 柚木 道義 | 国民 | 手紙・メール |
委員 | 大口 善徳 | 公明 | 手紙 |
委員 | 黒岩 宇洋 | 無会 | 手紙 |
委員 | 藤野 保史 | 共産 | 手紙・メール |
委員 | 串田 誠一 | 維新 | 手紙・メール |
委員 | 井出 庸生 | 無 | 手紙・メール |
委員 | 重徳 和彦 | 無 | 手紙・メール |
※衆議院法務委員会:衆院の常設委員会。法務省所管、裁判所の司法行政に関する事項を対象としている。具体的には裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護等である。
2.参議院法務委員会に所属する国会議員(全20議員)
役職 | 氏名(敬称略) | 会派 | 陳情方法 |
委員長 | 石川 博崇 | 公明 | 手紙・メール |
理事 | 中西 健治 | 自民 | 手紙 |
理事 | 山田 宏 | 自民 | 手紙 |
理事 | 若松 謙維 | 公明 | 手紙・メール |
理事 | 有田 芳生 | 立憲 | 手紙 |
委員 | 岡田 直樹 | 自民 | 手紙 |
委員 | 福岡 資麿 | 自民 | 手紙 |
委員 | 松山 政司 | 自民 | 手紙 |
委員 | 丸山 和也 | 自民 | 手紙 |
委員 | 元榮 太一郎 | 自民 | 手紙・メール |
委員 | 柳本 卓治 | 自民 | 手紙・メール |
委員 | 山谷 えり子 | 自民 | 手紙 |
委員 | 櫻井 充 | 民主 | 手紙・メール |
委員 | 小川 敏夫 | 立憲 | 手紙 |
委員 | 仁比 聡平 | 共産 | 手紙・メール |
委員 | 石井 苗子 | 維新 | 手紙・メール |
委員 | 糸数 慶子 | 沖縄 | 手紙・メール |
委員 | 郡司 彰 | 無所属 | 手紙・メール |
委員 | 伊達 忠一(参議院議長) | 無所属 | 手紙・メール |
委員 | 山口 和之 | 無所属 | 手紙・メール |
※参議院法務委員会:参院の常設委員会。法務省所管、裁判所の司法行政に関する事項を対象としている。具体的には裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護等である。
3.警察組織を所管する国家公安委員長(全1議員)
役職 | 氏名(敬称略) | 会派 | 陳情方法 |
国家公安委員長(衆議院議員) | 小此木 八郎 | 自民 | 手紙 |
※国会公安委員会:全国の警察運営、警察活動等の警察行政を統括する「警察庁」を管理する行政機関
4.法制審議会を所管(諮問機関)に置く、法務省の長である法務大臣および法務副大臣、法務大臣政務官(全3議員)
役職 | 氏名(敬称略) | 会派 | 陳情方法 |
法務大臣(衆議院議員) | 上川 陽子 | 自民 | 手紙・メール |
法務副大臣(衆議院議員) | 葉梨 康弘 | 自民 | 手紙・メール |
法務大臣政務官兼内閣府大臣政務官(衆議院議員) | 山下 貴司 | 自民 | 手紙・メール |
※法制審議会:法務大臣の諮問に応じて、刑法、民法等を含む法務に関する基本的な事項を調査・審議するための諮問機関
5.仮想通貨やIT等、本陳情に関する内容に対して知見を持つ議員(全3議員)
役職 | 氏名(敬称略) | 会派 | 陳情方法 |
参議院議員 | 藤巻 健史 | 維新 | 手紙・メール |
参議院議員 | 和田 政宗 | 自由民主党 | 手紙・メール |
参議院議員 | 青山 繫晴 | 自由民主党 | 手紙・メール |
※藤巻議員については、Twitterにてリプライをして頂いた方に「仮想通貨に理解のある議員」とご紹介頂き、陳情書をお送りさせて頂くことに致しました。
※和田議員、青山議員については、本サイトのコメント欄でご紹介頂き、陳情書をお送りさせて頂くことに致しました。
本件に関しまして、真剣に取り組んでもらえそうであったり、このような問題に興味や知見のある国会議員の方をご存知の方がいらっしゃいましたら、サイトのコメント欄かTwitterなどで是非教えて頂ければ幸いです。
陳情書の内容について(6/26更新)
国会議員の皆様にお送りさせて頂く陳情書には以下の内容を記載しております。
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色々と考えさせて頂いた結果、内容が複雑になりすぎないよう要点をある程度絞った記述内容とさせて頂きました。
❶衆参両院の法務委員会所属の国会議員および法務大臣および法務副大臣、法務大臣政務官の仮想通貨やIT等、本陳情に関する内容に対して知見を持つ議員の皆様宛てに送る内容
「不正指令電磁的記録に関する罪」の要件明確化に関する陳情について
1.本陳情でお願いさせて頂きたいこと
主として「不正指令電磁的記録に関する罪」に関して、法文上の解釈の曖昧さに起因して警察に検挙されるまたは、検挙されることを恐れて萎縮してしまい国のIT産業の発展を支える「新しい技術的な取り組み」を行うことをIT技術者やデザイナーやその他関係者がやめてしまうことがないように、また、法執行機関の法文上の解釈により「遵法精神があるにも関わらず「逮捕や検挙」等により、関係者の人権が脅かされること」がなくなることを強く希望致しております。
そのために、上記の法律がいかなる要件下で成立するのか、より具体的な例と、その根拠を示したガイドラインの策定、または必要に応じた法改正を国会の内外の有識者とともにご検討頂いた上で、その結果が国民に広く周知されるよう、関係各所に働きかけて頂くことをお願いさせて頂ければと存じます。
また、上記のガイドラインや法律が本来のあるべき目的(ソフトウェアやサイト利用者の実害を防ぐ目的)に沿った形で、法執行機関に運用されること、また時代の流れや新しいテクノロジーの登場にあわせて、このガイドラインや法律が継続的に審議され、改訂されていくことを切望致しております。何卒、お力添えを頂ければと存じます。
2.本陳情の動機につきまして (コインハイブを巡る一斉検挙の動き)
2018年6月13日までに 神奈川、愛知、宮城など全国10の県警がそれぞれコインハイブ(※1)を利用者に無断で設置していたとして「不正指令電磁的記録に関する罪」で、それぞれのウェブサイト運営者が検挙されました。
検挙された人の数は16人で、うち3人は逮捕され1人はコインハイブと同様のプログラムを製作したとしてウイルス作成罪も含めての逮捕されることとなりました。
上記の16人の方のうち、お1人の方は、逮捕・略式起訴に対して不服として裁判を起こし、この一部始終をご自身のブログ上で公開されております。
※1 コインハイブ(Coinhive)とは、ウェブサイトの運営者がウェブサイトの訪問者に仮想通貨をマイニングさせることで収益を得るサービスで、マイニングソフトの一種です。コインハイブ自体は、マルウェア(ウイルス)として認定されておらず、他のソフトウェアに不具合を与えることも、個人情報などを不正に取得することもないとされています。
警察は、本件の検挙理由、つまり、不正指令電磁的記録に関する罪 刑法168条の2、168条の3内の「人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録」と認定した理由として
「利用者に無断で設置した」、「収益を得ている」、「ネット広告とは異なり社会的コンセンサスがとれていない」という3点を検挙の理由として挙げられましたが、
例えば、同じようにサイト運営者が収益を得られるネット広告で、ウェブサイト上においてにスクロール追従型の広告や×ボタンが極端に小さく、×を押しても閉じることのできない動画広告などは、「利用者の意図に沿うべき動作」といえるのか、また「社会的コンセンサス」を得ているものであるといえるでしょうか。
また、警察が例として挙げている「社会的コンセンサス」については、世の中に、新しいテクノロジーやシステムが浸透していく過程において、段階的に形成されていくものであり、決して現時点において広く浸透しているとはいえない今回の技術(コインハイブを含むマイニングソフト)に関して「ネット広告のような社会的コンセンサスをとれていない」のは当然のことであると考えます。
あるいは、コインハイブ(コインハイブを含むマイニングソフト)がマシンパワー(CPUの処理能力等)を使って利用者の電気代を無駄にさせているというのが、検挙した根拠だったとしても、上記でも述べた動画広告でもマシンパワーは使っているため、違法の基準がどこにあるのかは不明確と言わざるを得ません。
また、警察庁は、上述した16人を摘発した後の2018年6月14日に、警察庁のウェブサイト上で、マイニングツールに関する注意喚起を行いました。
この注意喚起では、「利用者に告知なくマイニングツールを稼働させると、犯罪になる可能性がある」との告知でしたが、「可能性がある」程度で、事前に何の警告もなく検挙や逮捕を行ってもよいのか甚だ疑問です。
警察庁 仮想通貨を採掘するツール(マイニングツール)に関する注意喚起 http://www.npa.go.jp/cyber/policy/180614_2.html
また、あるメディアの取材に対して警察庁は「どんな事例が犯罪となるか、個別の事例については各警察に尋ねて頂くように」と回答があり、神奈川県警は「警察は答える立場にない」と回答しております。
このような回答では、警察は「違法になる基準はもっていない(または分からない)」と明言しているようなもので、根拠を明示出来ない逮捕を行ったことになります。
検挙・立件に至った基準がわからなければ、ソフトウェアやサイトを制作する市民は、何をもって適法的なサイトやソフトウェアといえるのかその判断をすることは出来ません。
以上のことから、現時点において、「不正指令電磁的記録に関する罪」に関しては、「一体何が違法行為に当たるのか」、「その基準や境界線がどこあるのか」、その実運用を行っている警察や検察でもその判断基準は曖昧であり、一貫した考えを持てていないのが現状ではないかと考えております。
この「不正指令電磁的記録に関する罪」に関しては、法案整備の際に、法制審議会等において様々な議論が行われる中で、「法律の趣旨を正しく理解せずに乱用されることとなれば、いかなるプログラムやウェブサイトにも恣意的に適用できてしまう危険がある法律である」と議論されていたことがありました。
現在、まさに懸念されていた状況下にあるといってもよいかと存じます。
3.これからの日本の発展と国民の人権保護のために
最後に、私から述べさせて頂きたいことを、以下の通りまとめさせて頂ければと存じます。
①IT産業が国内でも国外でもますますその影響力を増す中で、日本のIT産業を支えるIT技術者やデザイナーやその他関係者が、このような法律違反を恐れて萎縮し、革新的な技術への取り組みや創造的な活動が減少することは、ひいては日本経済の生産性や国際競争力を低下させてしまい、日本国の国益ないしは文化的観点においてもプラスになることは、決してないと考えております。
②IT分野において新しい技術やシステムが生まれる中で、現状「不正指令電磁的記録に関する罪」の中で、適法・違法か検挙・立件後でも意見の分かれる事案について警察が、何の事前警告なく検挙を行えば、本来守られるべき国民1人1人の人権が侵されることにつながってしまうと考えます。
③ ①、②で述べたことは守れるべきだと考えますが、同時にソフトウェアやサイトの利用者(ユーザー)保護の観点からも、ユーザーに物理的・金銭的に多大な損害を与える、または個人情報の流出を促すような明らかに悪意のあるプログラム(マルウェア)等の製作・配布・使用については、法的な抜け穴やガイドラインに不備ないか等よく検討して頂ければと存じます。そしてそのような悪質で、被害者に大きな実害を伴うようなマルウェアなどを警察には検挙の対象として頂けるようガイドラインの制定や、法改正を行って頂ければと存じます。
以上につきまして、ご一読頂き、何卒ご尽力賜りますようお願い申し上げます。
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❷警察機構を統括する国家公安委員長 である 小此木八郎 議員 宛てに送る内容(作成中)
陳情書の内容に、ご意見のある方がいらっしゃいましたら、お手数ですがコメント欄もしくTwitterでリプライ頂くか、お問い合わせフォームよりご連絡頂ければ幸いです。
最後に
私といたしましては、一国民として一技術者として、何よりIT関連の技術者、デザイナー、その他、ITに関わる様々な関係者の方が、遵法精神を持っているにも関わらず逮捕や強制捜査などにより平穏な生活を脅かされたり人権を大きく制約される懸念がなく日々の生活が送れること。現在検挙されてしまった方の名誉が回復されること。このような事件が繰り返されないよう、国民の代表者たる国会議員を中心に幅広い分野から有識者を集め、必要とあれば法改正も含めた検討を行って頂き、どこまでが合法でどこからが違法なのか、その境界線が十分に理解できるような形で根拠を明確にしながら具体例を挙げたガイドラインを策定または法改正するなどした上で、それを国民に広く周知して頂ければと思います。また、法律上の解釈について判断の分かれている問題については、違法性が国民に周知されるよう検挙の前には、警察は事前の警告を十分に行い、警察運営の独善化を防止する目的としても設置され国民の良識を代表とされる国家公安委員会には不必要に国民の人権が侵害されないよう警察組織を監督して頂きたい。また、サイバー警察には、捜査機関としての十分にその役割が果たせるほどのITスキル向上に取り組んで頂きたい。また、裁判所には行政府(警察や検察)や立法府(国会)から独立した司法としての本来期待される役割を果たして頂きたい。ただ、このような気持ちです。
また、本日(6/16)より陳情書の準備を始めたいと思っております。陳情書の内容につきまして記載を希望される内容等がございましたら、是非こちらのサイト内のコメント欄でコメントを書いて頂ければ幸いです。内容によってはご期待に沿えないかもしれませんが出来る範囲で可能な話し合いをさせて頂いた上で陳情書を提出させて頂ければと思います。
その他、何かご意見等ありましたら頂ければ幸いでございます。